金融情報備忘録でアクセスの多い情報ページ


※毎週月曜日から日曜日までのアクセスを集計しています。

景気後退が生み出す急激な雇用調整、政府の対策は有効か

自動車業界をはじめ製造業が相次いで生産調整を行う中で、派遣労働者に対する雇い止め(契約打ち切り)などの雇用調整が進んでいる。今回の調整の動きはこれまでのものよりも急速で、その背景には企業の雇用形態の変化があるといえる。


企業の雇用形態変化がもたらしたもの

ニュースや新聞などマスコミでは、毎日のように派遣労働者の雇い止めやその問題について報道されている。製造業を中心に雇用調整の中心となっている派遣労働者だか、こうした雇用調整はリーマン・ショックが起こった9月まではほとんどみられなかった。10月以降、急速に増えている。

これは金融危機による実体経済の悪化から景気後退が顕著になり、自動車をはじめ輸送機械、電気機械などの業種が急激な生産調整をしているからだ。しかも生産調整が雇用調整に波及するスピードは、これまでになかったほど速いといわれている。

多くの企業がこの数年、雇用の非正規化を行ってきた。派遣労働者の大規模活用、事業のアウトソーシング化の結果、企業のセーフティネットを構築することとなった。よりフレキシブルな雇用体制を選考するようになったといえる。

2003年1月に実施された内閣府「企業行動に関するアンケート調査」では、人件費の圧縮は「新規採用の縮減、凍結」(62.8%)、「給与体系の見直し」(58.5%)、「残業の削減」(57.6%)が中心であった。雇用調整の手段が変化してきたといえるだろう。

10月以降雇用調整の中心は、その多くが非正規労働者で企業の思惑通りの展開となった。


「2009年問題」も目前、追加雇用対策で下支え

こうした状況を背景に、厚生労働省は緊急雇用対策本部を設置した。

来春3月の新卒予定者の内定取り消しが300人以上に上ることが明らかになった。あくまで厚生労働省が把握した人数である。実際にはもっと多くの内定取り消し者がいると見て間違いないだろう。一方3月末までに契約満了にともなう雇い止めや、契約の中途解除で職を失う非正規労働者数も3万人を超えることが分かった。

こうした「雇用調整」は、2009年3月までにさらに増えるといわれている。

厚生労働省が公表している有効求人倍率は、2008年に入ってからマイナスを続けている(季節調整値)。これは求人(企業)より求職(労働者)の方が上回っている状態で、不況時に見られる現象だ。

2008年月別有効求人倍率(前月差)
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月
有効求人倍率0.00▲0.01▲0.02▲0.02▲0.01▲0.01▲0.02▲0.03▲0.02▲0.04
新規求人倍率0.06▲0.09▲0.150.13▲0.03▲0.090.02▲0.04▲0.03▲0.07
新規求人数1.4▲4.5▲6.84.40.9▲4.0▲0.0▲1.7▲2.9▲2.3

こうした状況の中、新雇用対策に関するプロジェクトチーム(PT)は非正規労働者らの雇用維持を中心とする追加の雇用対策を取りまとめた。2002年2003年に記録した過去最悪の5.5%を上回る失業率6%を想定し、140万人の雇用を下支えする対策となっている。

ただし今回の対策はあくまで"下支え"であって、新たな雇用創出策が発動されるまでのつなぎ対策と言わざるを得ない。十分な雇用創出が行われるためには、財政出動、政策減税などで根本から需要を喚起する必要がある。

しかし一時的とはいえ、「2009年問題」が目前に差し迫った今、放置してはおけない問題であることも確かだ。


関連記事:


その他の記事を検索する >>
posted by 金融情報通 | 内閣人事・政策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。